もうすぐデヴィッド・ボウイの映画、”ムーンエイジ・デイドリーム”が公開されますね。すごく期待しています!
Moonage Daydream A Brett Morgen Film
そう、デヴィッド・ボウイの音楽に私が初めて接したのはおーーー昔のこのFM番組でありました↓。話はいきなり脱線しますが、大昔は音楽はラジカセで聞くのが主流でした。というかオーディオ装置などない庶民にとってはラジカセしか選択肢がなく、このラジカセすらなかなか親に買ってもらえない時代でしたが、ようやく買ってもらったラジカセでFMの音楽番組を聴いて&録音するのが結構流行っていました。
ガキがレコードなんて買えないわけですから、このFM番組をリアルタイムで録音(当時はエア・チェックって言いました)して、それをいくつも繋いで自分だけのお気に入りカセットを作るわけです
ラジカセの電波を最善にするようにアンテナをピーーと伸ばし、番組でDJが曲の紹介を終える瞬間を狙ってラジカセの録音ボタンを押すのです。曲に話がかぶるDJはすげー嫌われましたし、たまに2番まで放送してくれると、今で言うところの”神かよ!”ってな感じでした。そしてその瞬間が訪れました。
シリア ポールさんがDJするこのFM東京・ダイヤトーン ポップスベストテンという番組。
シリアさんが”宇宙から来たロックスターが歌います!”的な紹介をしていまして、”まじかよ!ついに宇宙人来たかよ!””しかもロックやるんかよ!”って、半分は本気で半分は?でありまして、ドキドキしながらまだ聴いたことがないデヴィッド・ボウイの音楽が流れたわけです。
曲は”スターマン”・・。
”スターマン”か、マジで宇宙人じゃんって思ったか思わなかったですが、めっちゃショックだったんです。
当時のロックのような激しいギター・リフはなく、アコギで老人のうわごとのように歌いだすし、急にハイトーンになったかと思うとエレキギターが入ってきて。宇宙人はやっぱすごいじゃん!新しいじゃん!ってなるわけです。
※しかしビデオで見られる観客の踊り、ダラーーンとしていますよね😀。これ当時の世界共通なんじゃないかなーーと思います。
さてデヴィッド・ボウイというミュージシャンは色々と架空のキャラクターになりきる人で、最初はロックスター「ジギー・スターダスト」を演じて、アルバムもジギー・スターダストそのものであったり、奇抜な化粧をしたグラム・ロックの中心的な存在でもありました。その後の活躍はみなさんご存知の通りです。
で、普通、名声を得たミュージシャンは保守的になることが多いですがボウイの場合はスタイルをどんどん変化させて新しい音楽を作っていったんですね。アメリカにいた時代、ドイツにいた時代、、住処を変えることも彼の音楽スタイルを変えることに繋がっていますし、そうしたミュージシャンとしての変化のつけ方は後のアーティスト達にも大きな影響を与えたように思います。
ダイアモンドの犬、ヤング・アメリカンズ、ステイション・トゥ・ステイションロウ、ヒーローズ・・・
名作は次々に音楽の形を変えながら発表されました。
特にアルバム、「ヒーローズ」におけるタイトル曲は音楽の歴史の中でも伝説的なものとなりました。
というのも、1987年6月6日、デヴィッド・ボウイが西ベルリンの国会議事堂前広場で行ったライヴにおけるこの曲の演奏はベルリンの壁の崩壊を後押ししたような形になったのです。
この壁の反対側にいる我々の友人たちのために幸せを祈ろう!とボウイは呼びかけ、西ベルリンの8万人の観衆だけでなく、壁の向こうに集まった5,000人を超える東ベルリンの人々の心までも震わせたのです。
集会をやっただけで捕まる東ベルリンの情勢にあって大いに盛り上がり、退去命令が出されても観衆は一向に引かなかったそうです。NHKのドキュメントを見ても、民衆が覚悟を決めているように感じました。
2年後に起こった壁の崩壊を予感させるのに十分な出来事だったわけです。
曲「ヒーローズ」はベルリンの壁近くで会う恋人を描いていて、そこを警備兵が銃撃で阻止しようとするんですね。
まさにこの東西ドイツの分裂を、僕たちはヒーローになれる!1日だけなら・・・と皮肉るボウイ。
僕らは永遠に彼らを打ち負かせるんだ!っていう歌詞が崩壊そのものを表現していましたね。
さて悲劇は突然やってきます。
2016年1月10日、2日前の69歳の誕生日にアルバム『ブラックスター)』をリリースしたばかりで亡くなりました。
収録曲である「ラザルス」は、自らの死期を悟っていたボウイがファンへの最後のメッセージを盛り込んだ内容でした。
Lazarus :ここで見上げてみると 俺は天国にいる
I can’t give everything away…:(ぼくが全てをを与えることはできない)
アルバム全体が彼自身の死をイメージしています。ジャケットも黒い星だけですしね。
I can’t give everything awayを聴くと胸が締め付けられます。
ボウイはもっと歌いたかった。でも出来なくなったからファンに謝っているように聞こえます。ごめんね。。
あなたは僕らのスターでした。黒ではなく金色に輝くスーパースター。
安らかにお眠りください。
合掌