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ある時期、クラシック音楽を一時期浴びるように聴いたのですが、特に好きな音楽家はブルックナーとこのマーラーでした。まあクラッシックの魅力、この2人の魅力はさておき、このマーラー/交響曲 第5番 第4楽章 アダージェットは、「ベニスに死す」Death in Veniceという1971年に公開された映画のテーマ曲になっていまして、映画監督はルキノ・ヴィスコンティでした。
この映画をもしご覧になっていなければ、1度は観ることをお勧めします。映画の内容は別としてベニスの美しさとマーラーの音楽の美しさ、そして最大のキーとなる世界一美しい少年ビョルン・アンドレセンが見事に溶け合い、なんとも言えない美の体験をすることができるのです。ルキノ・ヴィスコンティ監督は私生活では色々と問題がありましたが、映画監督としては黒澤監督同様の映画手法を展開した名監督だと思っています。映画のワンカットワンカットが絵画のように独立して生命を持っていて、写真のように避けられない現実を映し出していると私は思っています。
特に映画の後半はこのマーラーの交響曲 第5番 第4楽章 アダージェットが流れるのですが、まるでこの映画のために作られたような溶け込み方をするんですね。元々このアダージェットはマーラーの恋愛、のちに奥さんになるアルマへのラブレターを表現しているそうで、映画における主人公の老作曲家のおっさんが美少年に恋するという、ちょっとちょっとな内容を、一気に人間の美意識というところまで昇華してしまうわけなんです。音楽が映画と対等な関係にあるってどなたかが仰っていましたが、まさにそう感じるわけです。
さて美少年役のビョルン・アンドレセンですが、ルキノ・ヴィスコンティ監督は実に必死こいて探したそうです。数千人のオーディションだったそうです。そりゃーそうですよね。可愛いとかいうレベルを超えて、彫刻のように美しく、存在そのものが美でありますね。まあでもこの映画がきっかけで彼はとんでもない世界に巻き込まれ、大人たちに性的搾取されたり悲惨な人生を歩むことになるのです。詳しいことは述べませんが、美少年ということで大人たちにビジネスとして利用されることも多かったようです。日本にも2回来日していて、1971年8月に映画のキャンペーンと明治製菓「エクセル」のCM撮影、CMソングのレコーディングしたりしています。一言で大人の道具にされてしまったわけですね。
映画における演奏は、フランコ・マンニーノ指揮・ローマ聖チェチーリア音楽院管弦楽団の演奏であります。
マーラーの曲はどれも構成が複雑でとても演奏しにくいと思いますが、一度はまりますと抜けられない沼に入ってしまいます。
で映画では、交響曲第3番の第4楽章とか交響曲第4番の第4楽章冒頭の旋律もさりげなく使っていて、この映画がきっかけで世界的なマーラー・ブームが起こったわけです。あの世ではきっとこう言う音楽が流れているに違いない・・・ナーーーンて感じたら、それは立派なマーラー病ですのでお大事にしてくださいね。
通勤・通学いってらっしゃーい!