ジミヘン・・日本では誰もがジミ・ヘンドリックスをそう呼びます。
左利きでありながら右利き用のギターを逆さまにして構えて弾いたり、ギターを歯で弾いたり、背中に回して弾いたり、ライブ中にギターに火を放ち破壊するなどの派手なパフォーマンスしましたけど、そんなことよりプレー自体が極めて個性的で、凄まじいアドリブで聞きものを圧倒しました。。彼はブルースや R&B、ロックンロールのレコードを聴き練習するのはもちろんですが、テレビのアニメーション作品などの効果音 (BGM) も熱心にコピーしていたそうです。彼がいろんなエフェクターを使ったのもこうした影響があるかもしれませんね。
私は彼の演奏は大好きですけど、違う側面でもとってもきになる存在であります。それはジャズとの関係、マイルスとの関係です。ジミヘンは伝統的なブルースをベースにしながら、それまで誰も聞いたことのなかった斬新なギターサウンドや卓越した演奏技術、そして圧倒的なインプロビゼーションを披露するわけですが、このアドリブが他のギタリストとちょっと違うことに気がつくわけです。アドリブの手法がマイルスのようなところを感じるのです。普通アドリブはいろんなフレーズの引き出しをいっぱい練習して、それを即興でつなぎ合わせていくのが普通ですが、マイルスやジミヘンは自分で演奏した音を即座に聞き取りそれを次のフレーズに繋げているように感じるのです。言い方は変ですが、降ってくるアドリブとでもいいましょうか、恐ろしく耳がいい!・・といより音感がいいのでしょう。
ジミヘンはマイルスのところによく行ったそうですが、見た目とは違い大変ナイーブで音楽的に相当悩むことも多かったようですね。それをマイルスに相談に行ったみたいです。マイルスの伝記を読むとそんなことが綴られています。マイルス曰く、ジミヘンは譜面を読めずコードの名前も知らなかったようですが、マイルスがピアノで音を聞かせると、ヘンドリックスは即座に反応してギター演奏で返して来たそうです・・絶対音感ですよね。でマイルスがいわゆる”電化マイルス”に走ったのもまず間違いなくジミヘンの影響だと思います。あのワウワウのトランペットの音色はジミヘンのワウワウそのものですし、マイルスはバンドのギタリストにはジミヘンのように弾け!って指示したそうです。確かに当時はそういう感じでした。晩年のマイク・スターンのギター演奏はとてもジミヘンのエッセンスがあってしかもジャズを加え、きっとマイルスのお気に入りのギタリストだったのではないでしょうか?マイルス作品の編曲などで知られる巨匠ギル・エヴァンスもヘンドリックスとの競演を熱望していていて、実際にもその予定が組まれていたそうです。でもその直前でジミヘンが亡くなってしまうわけですね。。なんという残酷なんでしょう・・もしも実際にセッションされていたら音楽界自体が変わっていたかもしれませんね・・・・ギル・エヴァンスはヘンドリックスの死後、カバー・アルバム「The Gil Evans Orchestra Plays the Music of Jimi Hendrix」って作っていますので、ロックを愛する方にこそ聞いていただきたいです。
ジミヘンは若くしてなくなってしまいますが、もう少しいろんなミュージシャンとセッションしてほしかったですね。間違いなくロックやジャズのシーンが大きく変わっていたでしょう。。他人の葬儀には行かないマイルスがジミヘンの葬儀に並んだのは、そんな気持ちからではないでしょうか?
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